迷子ペットを捜すためには〈5〉

迷子ペットを捜すためには〈4〉の続き


【第5回】トラブルの対処法

迷子ペットを捜している人は、心配で不安な日々を送っていることだろう。

なんとかしたい……という気持ちで、当サイトのような迷子掲示板に、望みを託しているはずだ。

しかし、そんな切実な想いとは裏腹に、トラブルに巻きこまれることがある。
現実問題として、人の不安や不幸をまったく意に介さず、非常識で不快なことをする人間が世の中にはいるのだ。

「動物好きに悪い人はいない」
「迷子ペットのサイトなのだから、みんな親切で思いやりがあるに違いない」
「まさか悪用されることはないだろう」

……などと思っていても、インターネットは相手の姿が見えない世界である。相手の姿も見えないが、自分の姿も見えていないということを忘れがちだ。匿名性が利点のインターネットなのだが、ときにそれは両刃の剣である。匿名をいいことに、嫌がらせや悪意のある行動を受けることがある。

当サイトでは、そうしたトラブルを多少なりとも未然に防ぐために、「注意事項」として利用規約を設けている。
だが、これは次善の策であって、トラブルを完全に防ぐことはできない。
思いもよらないトラブルに巻きこまれないためには、自分で防衛するしかないのである。

【その1:個人情報の防衛】

まず、第一に注意することは、個人情報の防衛だ。
当サイトの利用規約では、以下のものの掲載を禁止している。

・個人を特定できるような詳細な住所やフルネーム。
・電話番号

迷子になった場所として県名・市区町村名・何丁目までは、捜すための情報として必要なのだが、連絡先として自宅の住所や電話番号を書くことは、あまりに不用心である。

なぜなら、掲示板を見ているのは、必ずしも迷子ペット捜しに協力してくれるような人ばかりではないからだ。
別の目的で掲示板を巡回している人もいる。セールス目的であったり、イタズラ目的であったりと、個人情報を悪用する人はいるのだ。

早く確実な連絡方法として、電話番号を掲載している迷子掲示板もあるが、これは不用心としか思えない。NTTの電話帳に載っているだけでも、多くのセールス電話がかかってくるのだ。不用意に個人情報を掲載しないようにすることである。

【その2:メールアドレスの防衛】

記事を投稿するときには、メールアドレスが必須になっている。それは連絡を取る手段として必要だからだが、これもまた悪用の標的となる。

■もっとも困った問題は、ウイルスメールの標的になることだろう。

これについては、アンチウイルスソフトである程度は防衛できるが、完璧ではない。リスクは常に覚悟しなくてはならない。

■次に問題なのは、メールアドレスを掲載することによって、セールスメールやイタズラメールが届くようになることだ。

これらのジャンクメールは、届き始めると際限なく送られてくる。私はメールソフトのフィルターで、ジャンクメールをゴミ箱に直行させているが、次から次へと新しい差出人アドレスのジャンクメールが届く。

これに対する、有効な手段はなかなかない。
できることはメールアドレスを、なるべく公開しないことである。
しかし、それでは連絡の取りようがない……。
ということで、利用するのがフリーメールアドレスだ。

■フリーメールアドレスとは?

フリーメールとはWEB上で電子メールのやりとりを可能にする無料のメールサービスです。ホームページが閲覧できる環境であれば、どこでも見れます。メールアドレスを持っていない人や、現在のアドレスに加えてプライベートアドレスを持ちたい人に最適!……goo [フリーメール]の説明より

と、こういうサービスを一時的に利用すれば、本来の自分のアドレスを公開するリスクを軽減できる。不要になったら、サービスを打ち切ってしまえばいいのだ。ただし、フリーであることから広告スペースが入ることになるが、それは我慢するしかない。
自分のメールアドレスを公開することに不安がある人は、こうしたサービスを利用するといいだろう。
以下に、フリーメールアドレスを発行してくれるサービスを、いくつかピックアップしておこう。

●goo [フリーメール] ● Yahoo!メール
●エキサイトメール
●Googleメール

ほかにもたくさんあるが、必要ならばフリーメールを取得して、自己防衛するのがいいと思う。

【その3:ペット引き渡しの際の問題】

迷子捜しをしていて、迷子を見つけてくれた人がいたとしよう。
喜ぶ気持ちもわかるが、ペットとの対面や引き渡しのときには、慎重にことを進めよう。

まず、第一に注意すべきことは、ペットを保護してくれた人に、そのペットが本当に自分の飼っていたペットだということをきちんと証明することである。
保護してくれた人と本来の飼い主とは初対面だと思うので、互いに相手のことを知らない。まして、ペットが飼い主のものであるかどうかはわからない。なんらかの方法で、証明しなくてはならない。

これは重要なことなのだ。

写真を見せるというのもひとつの方法である。生後1年ほどになれば、成長による変化はほぼ完成しているので、写真による照合は有効だ。だが、子猫・子犬の場合は1ヶ月も経つと変わってしまうので、微妙になる。

話し合いだけで、物事が解決すれば問題ないが、簡単には区別がつきにくいような場合には、ペットを引き渡す側も疑心暗鬼になってしまう。

また、迷子になっていた期間が長くなると、幼いペットは成長してしまうし、新しい飼い主に慣れてしまうと昔の飼い主が覚えていた様子とは違っていることだろう。毛皮の柄も幼少時と成長してからでは、変化することも珍しくない。

以前、黒猫を保護したことがあって、飼い主かもしれないという人が現れ、引き合わせたことがあった。保護していた期間は1ヶ月ほどだったが、いざ飼い主が対面しても、当の飼い主が自分の飼っていた猫かどうか確信が持てなかったのだ。

対面した飼い主は、昔の名前で呼んでみるが、猫はまったく反応しない。結局、「違う猫のようです」ということになって手ぶらで帰っていった。実際はどっちだったのか私にもわからないが、まだ幼さの残っていた猫は、1ヶ月も経てばかなり成長してしまう。判別がつかなかったのは、決定的な確認方法がなかったからだ。そして保護猫は、飼い主の元に戻ることなく、新しい里親に引き取られていったのだ。

せっかく迷子のペットに会えたかもしれないのに、時間が経ってしまったことで確証が得られないとしたら、こんな不運なことはない。見た目だけではなくて、変化しにくい体の特徴的な部分を、記録したり確認しておいた方がよい。

たとえば、日本猫の多くが尻尾の先端が曲がっているが、その曲がり具合を記録しておく。毛皮の上からではわかりにくいので、体を洗ったときなどに濡れた尻尾であれば、顕著にわかるものだ。また、動物にもホクロがあるので、これも洗ったときにチェックしておくとよい。歯が生えかわったあとの歯並びなども、特徴としては個体差があるのでチェックポイントだ。

さて、対面したペットが、自分の飼っていたものだと確信したとする。
すんなりと両者で納得すればいいが、場合によっては問題が発生することもあるだろう。

いったんは返還したものの、保護していた側がペットに愛着が出てしまって返したくない、と心変わりすることも考えられる。ペットを巡っての争奪戦になると、問題は複雑だ。

迷子の届け出を警察にしていれば、6ヶ月以内は本来の飼い主に所有権がある。しかし、それをしていなかったとすると、問題の火種になりかねない。
そういうケースは非常に希かもしれないが、ないとはいえない。

ペットの引き渡しの際には、両者で意思の確認をしておくのが得策だろう。意思の確認は口頭ではなく、書面で行うことをお勧めする。確認しあったことを、証拠として残すためである。

当サイトでは、「迷子ペットの引き渡し確認・同意書 」を用意している。形式的で面倒かもしれないが、これもトラブルからの自衛策である。不安のある方はご利用いただきたい。

以上が、想定されるトラブルの対処法である。
まだほかにもあるかもしれないが、こんな経験があったという方がいたら、情報を提供していただきたい。
情報提供は迷い猫.NETまで。


迷子の鳥の場合」に続く。