迷子ペットを捜すためには〈3〉

迷子ペットを捜すためには〈2〉の続き。


【第3回】インターネットで迷子ペットの情報を求める

迷子ペットを捜す方法として、第2回でいくつかの方法を書いた。

どれかひとつが有効というわけではなく、できることはなんでもやった方がいいのは当然だ。プロの探偵社に頼むこと以外に共通していることは、地道にねばり強く続けることが大切である。

以下では、インターネットを使った捜索情報の収集に、必要であろうと思われることを挙げていく。

【その1:戻ってくるまでの日数データ】

まずは、データから見ていこう。
これを書いている時点で、当サイトは開設して20日あまりなのだが、迷子情報が掲載されてから見つかった人が何人かいる。喜ばしいことである。
では、統計的にどれほどの日数で見つかっているのか? ということをリサーチしてみた。

データは当サイトはもとより、他の迷子掲示板サイトを参照して、「見つかりました」という書き込みから、何日後に見つかったかを集計した。すべての情報を参照したわけではないが、サンプル数は102件である。

その結果が、以下の表である。

ペットが戻ってくるまでの日数データ

▲ペットが戻ってくるまでの日数データ

ごらん頂ければ一目瞭然だが、3日以内に戻ってくるのが59.8%と圧倒的に多い。3~7日以内が20.6%と続き、以後日数が経つほどに激減する。一週間以内の合計では、80.4%で戻っていることになる。

ただし、これは戻ってきた場合の日数である。迷子になったという書き込みから、その後どうなったかの報告がない場合もあり、戻ってくる割合がどれほどかは厳密なデータの取りようがない。しかし、戻ってくる場合には、一週間以内が勝負だとはいえる。

とはいうものの、一週間を過ぎてもあきらめることはない。参照したサンプルの中には、57日目、71日目に戻ったという報告もあった。
このことからいえることは、迷子になってからの一週間に集中的に捜すことだろう。無理を承知でいえば、大事なペットのためなら、一週間会社を休んででも捜した方がいいかもしれない。

【その2:各サイトの利用規約を守る】

迷子ペット情報を扱うサイトは、企業やショップが運営するものから、当サイトのような個人がボランティアで運営するものがある。その情報の掲載の仕方やスタイルは様々だが、多くの場合それぞれのサイトには利用するための規約がある。

まず、初めての場合には、必ず規約を読むようにすべきである。

なぜなら、それぞれの立場や方針によって、規約は違っているからだ。
迷子系のサイトとしては後発の「迷い猫.NET」では、他のサイトを参考にしながら利用規約を作っている。当サイトならではの項目も加えているが、おそらく当サイトの規約を守っていれば、他のサイトでも通用するはずである(笑)。

当サイトの利用規約はこちらである。
利用規約はごく基本的なことについて触れているわけで、これはサイト管理者と利用者、利用者間同士でのトラブルを未然に防ぐ意味がある。書かれていることは最低限のルールなので、ネチケットとして必ず守るようにしてほしい。

とくに注意したいのが、「報酬の有無について」だろう。
当サイトでは「報酬」の提示や要求は禁止している。サイトがボランティアであることと、情報提供や保護に協力してくれるかもしれない人にも、ボランティアの精神を求めているからだ。ボランティア系の迷子サイトは、多くがその方針を取っている。

企業やショップが運営するサイトでは、報酬の提示を容認しているところもあるようだが、お金が絡むとトラブルの元になりかねない。個人的には報酬をちらつかせることはお勧めしない。

かといって、迷子を見つけてくれた人への“お礼”を否定するわけではない。感謝の気持ちの証として、菓子折のひとつくらい持参するのは、けっして悪いことではない。ただ、事前に「見つけてくれたら○万円出します」というような方法は禁止しているのだ。

いずれにしても、利用規約はきちんと読んでから、掲示板に書き込むことである。

【その3:情報は適切でわかりやすく】

迷子掲示板に情報を書き込む最大の目的は、多くの人に見てもらうことである。

ただ書けばいいというものでもない。
要点を明確に、わかりやすく書く必要がある。

だらだらと長い文章を書いて、肝心の迷子ペットに関する情報が埋もれてしまっているケースをよく見かける。逆に簡潔すぎて、必要な情報が抜け落ちている場合もある。

迷子になってしまった、飼い主の気持ちを書くことで、見る人の関心を引くことも重要だが、要点とは分けた方がよい。

そんなことから、当サイトでは書き込みサンプルを用意している。以下は、投稿するときの本文で、必要最低限の情報の例である。

 ■この書き込みは、サンプルです。参考にしてください。■

サバトラ猫を捜してください(●●県●●市●●町) ←タイトルサンプル

私の飼っている猫が迷子になりました。
……等々の挨拶文は短めに。

****迷子の場合****
・種類:猫/オス/サバトラ(雑種)/白地にグレイの縞模様
・その他特徴:大きさは普通だが細身/8歳/尾長/青の首輪/去勢済み
・猫の名前:シマ
・迷子日時:●月●日(●曜日)午後●●時頃
・迷子場所:●●県●●市●●町●丁目付近
・迷子時の状況:●●動物病院に行く途中で、キャリーの扉が開いて飛びだしてしまった。
・補足事項:雑種の日本猫だが、よくアメショのシルバータビーと間違われる。母親はペルシャとヒマラヤンのハーフ、父親は近所のドラ猫。飼い主にはよくなついているものの、他人に対しては警戒心が強い。

****保護の場合****
・種類:猫/オス/サバトラ/白地にグレイの縞模様
・その他特徴:大きさは普通だが細身/8歳くらい/尾長/青の首輪/去勢済み
・発見日時:●月●日(●曜日)午後●●時頃
・保護日時:●月●日(●曜日)午後●●時頃
・保護場所:●●県●●市●●町●丁目付近
・保護時の状況:数日前から近所の公園で見かけるようになっていた。お腹を空かせていたのか、猫餌を持っていくと寄ってきたので保護。

この書式は、他の迷子サイトでも使えると思う。迷子に関する基本情報は箇条書きにして、パッと見でわかるようにした方がいい。

そして、タイトルも重要だ。

サイトによって掲示板のスタイルは違うが、タイトルがあり内容があるという点は共通している。掲示板によっては、タイトル一覧を表示して、内容はタイトルをクリックしないと表示しない場合もある。そんな場合には、タイトルから基本情報がわかるようにする必要がある。
タイトルに必要な基本情報とは、

  • 迷子か保護か?
  • 動物の種類はなにか?
  • 地域はどこなのか?

という三点である。

この三点によって、掲示板を見る来る人が、自分に関係あるかどうか、自分の住んでいる近くかどうか、を判断して詳しい内容を見ることになるのだ。
悪い例は『助けてください!』……というようなものである。

なにを助けてほしいのか? なにが迷子になったのか? どこのことなのか? ……といったことがわからないために、飛ばされてしまう可能性がある。

当サイトでは8つの地域に分けているが、全国がひとつの掲示板の中に入っている場合には、多くの情報の中から、自分が住んでいる地域に関係する情報を探し出すのは大変である。せめてタイトルに上記の三点が含まれていれば、情報を選ぶことが容易となる。

【その4:写真の重要性】

迷子・保護情報で、決め手となる情報は、やはり写真だろう。
文字情報だけというのは、表現の仕方によって受け止め方が違ってくるため、難しいものがある。

犬の場合には、犬種によって特徴があるので、わりとイメージしやすい。猫の場合は血統書つきのような猫は特徴的だが、日本猫の雑種は区別がしにくい。キジトラ、サバトラ、黒猫、白猫、鉢割れ、三毛猫……といっても、それぞれの個体で違いがあるため、言葉だけではわかりにくい。

写真画像を掲載できる掲示板ならば、ぜひとも写真は掲載したいところだ。

しかし、写真にも一長一短がある。それは不鮮明な写真では逆に、言葉での説明を補完することにはならず、間違ったイメージを与えてしまうからだ。視覚的なイメージというのは言葉よりも大きいので、写真を掲載するときには鮮明で特徴をよくとらえているものにした方がいいだろう。写真について得意でない場合は、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる方式で、日頃からたくさん撮っておくとよい(笑)。100枚の内、ひとつくらにいは使えるものがあるのではと思う。

さらに写真の大きさも重要だ。写真を投稿できる掲示板の場合、投稿できる写真の大きさについて書かれているはずである。だいたい20KBから50KBくらいが多いが、許容限度内で大きめの画像を掲載しよう。当サイトの掲示板では、掲示板画面に小さいプレビュー画像を表示し、画像をクリックすると本来のサイズで表示するようになっている。勘違いしてプレビューサイズの大きさで投稿している人がいるが、小さすぎる画像では、細部がわかりにくく、写真情報としての価値が低くなってしまう。

掲示板によっては、写真が掲載できないタイプもあるが、そういうときは自分のホームページに画像があると書いて、リンクするとよい。自分のホームページを持っていないのだったら、画像が掲載できる迷子サイトを書いて、そちらに見に行ってほしいと書けばいいだろう。

また、写真でなくても、手描きの図解でもいいのだ。雑誌などの犬猫の写真からアウトラインを写し取って、迷子の特徴を書き入れて説明すればよい。たとえば「顔にブチがあります」というときに、どの辺にどのようなブチがあるかを描けば、よりわかりやすくなる。このへんは工夫しだいである。

ただし、なんでもいいからと写真を掲載することはやってはいけない。

同じ種類だからと、赤の他人(他猫・他犬)の写真を掲載しても意味がない。その写真が雑誌の切り抜きだったり、どこかのホームページから拝借してきたものだったりすると、それは著作権の侵害であり、違法行為となる。

そもそも赤の他猫・他犬を掲載しても、本当に捜したいペットではないのだから、存在しないペットを捜してくださいといってることになる。これは無駄なことであり、逆効果である。

【その5:たくさんの掲示板に書き込む】

迷子・保護の情報は、より多くの人の目に触れるように、たくさんのサイトに掲載した方がよい。
だれがどこのサイトを見るかわからないからである。

当サイトの動物関係リンク集には、迷子・保護ペットのカテゴリーに他のサイトを紹介している。他のカテゴリーに入っているものもあるので、「検索」で「迷子」と入れれば、迷子関係が出てくる。これを書いている時点で、34箇所あるが、今後も見つけたらリンク集に加えていく予定だ。おおいに活用してほしいと思う。

そして、それらのサイトにジャンプして、片っ端から書き込んでいくのだ。なかなか大変な作業だが、最初に例文を作っておけば、あとはコピー&ペーストしていけばよい。

迷子関係サイトはそれぞれに独自に活動しているので、緊密な協力関係というものはないのが現状だ。将来的には迷子関係のサイトで、連係するようなシステムが必要になるのではと考えているが、なかなか難しいものがある。

理想的には、連係しているサイトのどれかに情報を書き込めば、他のサイトにも情報が掲載される……というようなシステムになると、迷子捜しも効率的になると思う。せっかくのインターネット環境なのだから、こうした連係ができるのが望ましいが、これは将来的な課題だ。

【その6:インターネットは補助的な手段】

いろいろとインターネットでの迷子捜しについて書いてきた。
ひとつ、ここで強調しておきたいのは、現状ではインターネットは迷子捜しの補助的手段だということだ。
なんといっても、効果的な方法は、自分の足で迷子になった近所を捜し歩くことである。

多くの場合が、自宅からの失踪や、普段から外に出ているペットが戻ってこなくなるというものだろう。こういうケースでは、たいていが自宅近所にいる可能性が高い。その1で示したデータでわかるように、80%が一週間以内に戻ってきているということは、近所に潜んでいたことを示している。
インターネットの活用が有効となるのは、次の4つのケースだろう。

  • 保護した場合。
  • 広範囲の捜索が必要な場合。
  • 長期間になる捜索の場合。
  • 外出先での迷子の場合。

保護した場合は、ペットの飼い主を捜すということで、顔も名前も知らない不特定多数の人が対象である。これは保護した側では、捜しようがない。元々の飼い主からの接触を待つしかないのである。

広範囲の捜索が必要な場合や長期間になる捜索の場合は、飼い主だけではカバーしきれなくなってしまう。こういうときには、インターネットで情報提供を呼びかけることで、発見の可能性をわずかでも高めてくれる。

外出先での迷子の場合には、自宅から離れていると迷子現場に行くことも、そうそう頻繁にはできないものだ。インターネットで呼びかければ、近くに住んでいる人が気がついてくれるかもしれない。

とはいうものの、現状ではインターネットで迷子捜しをするということ自体の認知度が低い。インターネット人口も一昔に較べればかなり増えたものの、かといって迷子関係サイトに来る人は限られている。

ペットが迷子になった飼い主は、必要に迫られてサイトを訪れるが、迷子に関する目撃情報や発見情報を提供してくれるのは、一般の来訪者であり動物に関心がある人達だろう。ペットを迷子にした経験者は、自分の経験から関心を持って情報を見てくれると思うが、そうでない人はよほどのことがない限り、情報を目にすることすらないだろう。

そういう意味では、インターネットは確実な方法ではない。電柱に貼るチラシにしても、関心を持って見る人は限られているが、狭い範囲内の人たちの目に触れるということでは、まだ効果は期待できる。

ペットを飼っている人は多いし、その人たちがインターネット環境を持っている割合も多いと思う。しかし、その中でさらに迷子ペットサイトに来る人は、わずかだろう。

それでもなお、当サイトのような迷子ペットサイトがあることの意義は、「わずかでも可能性を期待したい」という想いがあるからだ。

迷子ペットサイトに書き込まれた迷子情報のうち、どれほどの迷子が飼い主の元に戻ったかの、正確なデータはない。その後の情報が必ずしもあるわけではないからだ。私がリサーチした感触では、約3分の1から4分の1の発見率ではないかと思う。

つまり、多くの迷子が戻れていないということだ。
そんなペットや飼い主は、わずかな可能性でも賭けるしかない。
そのためのインターネットであり、迷子サイトなのだと思う。

【その7:もし、見つかったときには】

迷子掲示板に捜索情報を書き込んだ人は、ペットが戻ってきたときには、ぜひとも報告をしてほしい。
そして、発見に至るまでの過程を詳しく教えてほしいと思う。
それはいま現在、ペットが迷子になっている人たちへの参考になるし、はげみにもなるからだ。

ペットを家族同然に思っている人にとって、ペットを失うことは辛いし悲しいことだ。同じ境遇の人たちが、自分の経験や心情を書き記すことは、精神的なケアにもなるはずである。

また、当サイトでは「動物エッセイ」として、そうした経験談を募集している。私自身も経験者だが、多くの人の経験談に接することができれば、きっと役立つと思う。

ペットが迷子になって、辛い日々を送っているのは、自分だけではない……。そう思うことができるだけでも、いくぶんかは気持ちが安らぐのではないだろうか?
ひとりでも多くの人が、迷子ペットと再会できることを願っているが、同時に経験者同士のアドバイスや協力も得られる場になれたらいいと思っている。


【追伸】
当サイトを開設した頃は、迷子ペットのための掲示板サイトはたくさんあったのだが、14年経って、生き残っているのは当サイトだけになってしまった(^_^)b
紆余曲折があり、運営はいろいろと苦労が多いのだが、体力と資金がある限りは続けたいと思っている。
(2016年11月9日・記)


里親募集サイトやペット里親会をあたる」に続く。