迷子ペットを捜すためには〈6〉

迷子ペットを捜すためには〈5〉の続き。


【第6回】迷子の鳥の場合

当サイトにも鳥の迷子の書き込みがあったので、鳥の場合を書いておこう。

じつは私がまだ田舎の実家にいた頃、親が動物好きで鳥も飼っていた(笑)。ピーク時にはその数が100羽ほどいただろうか。屋内にも鳥かごがあったが、屋外には4畳ほどの鳥小屋を作っていたほどなのだ。種類はセキセイインコ、ボタンインコ、オカメインコといった小型のインコ類から、キバタン、キエリボウシインコ、ヨウムといった大型のインコ類がいた。雛が生まれると、ある程度まで育てて、馴染みのペットショップに卸していた。私も雛の餌やりをけっこうやっていた。

同時期には熱帯魚にも凝っていて、水槽が壁一面に三段ラックがつらなり、一回り大きな水槽が居間や玄関にあり、計15槽ほどあった(^^;)。さながら淡水魚水族館と、インコ類鳥類館のようなありさまだった。そして、犬も3頭いた。……と、これは余談。

そんな状況だったので、鳥が逃げだすこともあった。
だが、逃げた鳥を捕獲することは難しい。特に、小型の鳥は動きも敏捷なので、簡単には捕まらない。

大型のインコの場合には、わりと捕まえやすかった。というのも、大型のインコの場合は、鳥かごの中で自由に飛べるほどのスペースがなく、かごから出して遊ばせていても、部屋の中の端から端まで飛ぶのが精一杯なので、十分に飛ぶ訓練ができない。つまり、鳥としての飛ぶ能力が衰えていた。そのため、外に飛びだしても、遠くまで長時間飛んでいくことができなかったのだ。

また、大型のインコはけっこう頭がいいので、飼い主を見分けることができる。飛び疲れて着地した場所に行けば、わりと簡単に捕まえることが可能なのだ。とはいえ、空を飛ぶ鳥を追いかけるのは、簡単なことではない。田舎だったので、わりと周りの空間が広く、飛んでいく方向が見えていたことも幸いした。住宅密集地やビルが多い場所では死角が多く、すぐに見失ってしまうだろう。

そして、うちの場合には、逃げたよその鳥が庭にある鳥小屋に寄ってくることが度々あった。鳥小屋の鳥たちのさえずりに、引きよせられてきていたのだ。小型の鳥は群れをなす習性があるので、仲間を求めてやって来ていたのだと思われる。

寄ってきた迷子鳥を捕まえるには、向こうからやってくるのを待つという方法を取っていた。庭に面した窓を開けておき、部屋の中には同種の鳥が入った鳥かごを置いておく。すると、警戒しながらもやがては舞い降りてきて、部屋の中に入ってくるのだ。部屋に入ったら、窓を閉めて捕獲する。

いつしか私の実家に大きな鳥小屋があることが町内に広まり、インコを逃がしてしまった人が「うちのインコが来ませんでしたか?」と尋ねてくるようになっていた。

迷子のインコ類を捜すとしたら、まず近所に鳥を飼っている人がいないかどうかということから始めてみてはどうだろう? もし、庭やベランダに鳥かごを出していて、さえずっているならば寄っていく可能性はある。

また、最近では逃げたインコ類が野生化して、都会の木々の多い公園などに群れていたりする。そういう場所が近くにあるならば、逃げた鳥も合流してしまうことが考えられる。ただ、こうした群れに合流してしまうと、取り戻すのは不可能に近いかもしれない。どんなに人に慣れていたとしても、群れの中に入ってしまうと、群れと一緒に行動するようになるからだ。まして、同種の鳥が集まっていたのでは、どれが自分の鳥かの判別は、極めて困難だろうと思う。

飼っている鳥が簡単に飛んで逃げて行かなくするには、羽を切るのもひとつの方法だ。

その方法は、風切り羽(1番長い羽根)を3~4枚だけ切るのだ。羽は切ってもまた伸びてくるので、心配はいらない。ただ、どこまで切るかというのは、初心者ではわからないと思うので、鳥のペットショップか長年鳥を飼っている経験者に、実地に教えてもらった方がよい。

しかし、風切り羽を切っても完全に飛べなくなるわけではなく、飛ぶ距離が短くなるという程度である。加えて、羽が抜け変わるまでは飛べない状態となるため、飛ぶための胸の筋肉が衰えるという点は代償としてある。鳥のためを思うなら、羽を切ることなく、逃がさないように注意深く飼うことの方が望ましい。

鳥の迷子は対応が難しい。

小型の鳥はなおさらである。小さいために目撃しても、鳥に詳しい人でないと種類の判別ができないし、捕まえるとなるとさらに難しいからだ。
犬猫のように保健所の扱う動物ではないし、発見され捕獲されるにはかなりの幸運が必要だろう。たまたまどこかの家に飛びこんで……という、偶然に期待するしかない。

鳥が人慣れしていて警戒心が薄いとなると、さらに悪条件だ。町中にはカラスや猫といった天敵もいる。警戒心の薄い鳥は、格好の標的だろう。
悲観的なことを書いて、鳥の迷子の飼い主を悲しませるつもりはないが、それだけ厳しいということである。

私は卵から孵したインコに餌をあげ、何羽もの手乗りに育ててきた。だから、手乗りのインコの可愛さも十分承知しているつもりだ。犬猫は言葉をしゃべらないが、物真似とはいえ言葉を発するインコは、特別な存在だからね。

あなたの鳥に、幸運がありますように――。